【看護師1年目に救急科は無理⁉】救命センターをオススメしない3つの理由

救命センターってカッコイイですよね。テレビでも取り上げられるし、そんな場所で働きたいって思ったことあると思います。

でも、実際救命センターで働くのってどうなの?勉強とか人間関係とか気になると思います。

救命センターで働く私が、そんな疑問にお答えします。

目次

救命センターってどんな場所?

救命センターは、主にEICU HCU 救急外来の3部署に別れており、その3つをまとめて「救命センター」と呼びます。救命センターは、救急車の患者を受け入れている部署で、「外からの患者」を受け入れています。

それでは、詳しく解説していきます。

ER:救急外来

救急車の受け入れ窓口です。救急車から運ばれてきた患者が最初に運ばれてくる部署で、「初療」を行いその後に、EICUやHCUに入院します。

1次救急と2次救急、3次救急に別れており、いわゆるテレビで見る救命センターは、3次救急です。

詳しい違いは下記のとおり。

来院方法特徴患者の経緯
1次救急バス 電車 徒歩など自力で歩ける人比較的軽症帰宅or入院
2次救急救急車自力で歩けない人が救急要請をする帰宅or入院
3次救急救急車 ドクターカー ドクターヘリ高エネルギー外傷(墜落、交通事故)
心停止 VF 自殺 ショックバイタル
帰宅or入院or死亡

この中で、気になるのは「3次救急」だと思います。私は3次救急を受け入れている病院に勤務していますが、3次救急はヤバいです。ガチでヤバい患者が運ばれてきます。

ERで亡くなる患者も多く、蘇生した患者がEICUへ入院します。

「外来」なので、患者がいないときはのんびりしていますが、3次救急の受け入れ要請が鳴ったりすると急にスイッチが入ってピリピリします。

EICU:救急集中治療室

EICUとは『救急集中治療室;Emergency Intensive Care Unit』の略称です。ER(救急外来)で初療を終えた患者で、重症な患者が入室します。

ICU(集中治療室)と同様に、人工呼吸器やCHDF、IABP、PCPSなど医療機器のオンパレードです。

患者の状態も急変しやすく、常に緊張感があります。

HCU(高度治療室)

HCUは、一般床よりも重症だけどEICUよりは軽症といった患者が入院しています。EICUの患者が回復してHCUに転棟してくるこあります。

患者の受け持ちは4:1です。

救急科に求められる知識とスキルは?

救急科に求められる知識は多岐に渡ります。例えば、同じ「多発外傷」でも受傷部位で観察する項目や知識が変わってきます。

診断名受傷部位
Aさん多発外傷(交通事故)脳出血 骨盤骨折
Bさん多発外傷(交通事故)腹腔内出血 下肢骨折
Cさん多発外傷(墜落)脳出血 脊椎損傷
Dさん多発外傷(列車との接触)肋骨骨折 気胸 上肢骨折

例えば、脳を損傷していれば神経所見や瞳孔所見など、脳疾患の知識が必要。骨を骨折していれば、整形の知識が必要になります。当然、ショックバイタルのため、それらに対応するための知識も必要です。

さらに、人工呼吸器やCHDF、補助循環などの管理も行います。全身の管理を行う知識が求められるため、勉強する内容は多いです。

救急科の看護師の性格がきついって本当?

私は現在も、救急科で働いています。救急科の看護師は、性格がきつい人は多いです。きつい人が多いというか、物事をハッキリと言えないと救急科で働いていくことが難しいです。

救急科の看護師に性格がきつい人が多い原因は下記のとおり。

  • 患者の状態が変わりやすいので、常に緊張している
  • 入院が多く、ストレスが溜まりやすい
  • 外傷が多く処置も多いので、仕事が終わらない

原因1.患者の状態が変わりやすいので、常に緊張している

救急科に入院してくる患者を看るには、多くの知識が必要です。同じ交通事故でも、頭部の受傷や、腹部の血管の損傷など多岐に渡ります。そのため、入院してきた直後の患者を看るためには、常に観察観察観察…。

どこかに異常がないかを常に考えています。ショックバイタルで入院してきた患者は、状態が変化しやすいです。あっという間に血圧が下がることも…。

そんな環境で働いている看護師は、常に緊張を強いられれるので、徐々に口調や態度がきつくなっていきます。

原因2.入院が多く、ストレスが溜まりやすい

救急車の受け入れを行っている病棟で、入院が絶えず来ます。多いときは、1勤務に5,6件入院がくることも…。

患者が入院すると、書類の記入や入院のデータ入力、家族対応など面倒くさく、ストレスがかかるものばかり。ただでさえ、忙しい救急科に入院が来るとスタッフのストレスがピークになります。

口調や態度もきつくなっていき、怖い先輩には話しかけることもためらいます。

原因3.外傷が多く処置も多いので、仕事が終わらない

救急科に入院する患者は外傷が多いです。傷の処置や方向が毎日あるので、仕事が終わらないことが多い。また、CTやMRIなど準備や移動に時間がかかる検査も急に入ってきたりするので、記録が後回しになることも多々あります。

残業が多いため、自宅に帰るのが遅く疲れが溜まりやすいです。

1年目から救急科で働けるの?

結論:働くことは出来るけど、オススメはしない

オススメ出来ない理由は下記のとおり。

  • 勉強する疾患が多すぎる
  • きつい性格の先輩たちが多い
  • フォロー体制が整っていない

理由1.勉強する疾患が多すぎる

救急科に入院してくる疾患の種類は、色々な科の中で1番多いです。外傷や心停止、自殺、ショックバイタルなど、多岐に渡ります。それを看る看護師も、相応の知識が求められます。

勉強する内容が多すぎるので、やってもやっても終わらないです。実際に、私が1年目の看護師の悩みを聞いた時も、「勉強する疾患が多すぎて、何からやっていいいのか分からない。」と話していました。

理由2.きつい性格の先輩たちが多い

救急科の看護師は性格がキツイ人が多いです。1年目の看護師は、キツイ看護師にフォローしてもらうため関わるのが苦痛に感じます。

私も、ストレスでヒステリックになってる同僚に、「新しい入院患者の担当をしてもらえますか?」と頼むのが苦痛です。嫌な顔をされるし、さらにヒステリックになる。

1年目の看護師が、そんな先輩にフォローされていて話しかけにくそうにしているのを見ると、申し訳なく思います。でも、私が間に入ると、フォローから「何で私に直接言わないの?」と1年目の看護師が八つ当たりされてしまうので、手が出せない…。

理由3.フォロー体制が整っていない

救急科の勤務はハードです。患者の容体が急変しやすく、処置や検査も多い。そのため、フォローをする先輩看護師に余裕がないのが現状。フォローして貰う1年目の看護師も、先輩が忙しそうにしているので「声がかけられない。声をかけても怒られる。」というひどい状況です。

先輩に聞きたい時に聞けないので、色々なことが後回しになってしまい、先輩から「何で早く言わなかったの?」と怒られてしまう始末。

1年目の看護師からすれば、「聞ける状況じゃなかった。その時に聞いてもどうせ怒られる。」という理不尽です。

救急科に配属になった1年目の看護師の離職率は?

1年目の看護師の看護師の離職率は高いです。仕事がハードで、人間関係も良くはありません。勉強する内容も多く、1年目で働く環境として厳しいです。

救急科の看護師の離職率のデータはありませんが、私の病棟では1年目で半分が辞めます。2年目で、さらに半分…。仕事や人間関係に悩み、うつになった1年目の看護師もいます。

救急科の看護師の仕事は他の科の看護師と比較しても3K(キツイ・キタナイ・キケン)のど真ん中です。

看護師の3Kについてはコチラで紹介しています。

【看護師の仕事が辛い】元サラリーマン解説が解説 看護師の9Kって何?

まとめ:1年目の看護師に救急科はオススメしない

救急科の働く環境をまとめると、下記のとおり。

  • 仕事がハード
  • 人間関係がキツイ
  • フォロー体制が整っていないから不安に感じる

看護師経験が数年あり、知識も技術もあるなら働ける環境ですが、1年目には厳しい環境です。勉強する内容や習得する手技も他の科に比べ、断然多いです。やりがいという言葉ではとても片づけられる量と質ではありません。

辞めていく1年目や2年目も多いため、ストレスを感じているなら無理をして働き続ける必要はないと思います。

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