特定行為を行うためには、「手順書」が必要です。手順書の範囲内の患者に対し、特定行為を行うことが出来ます。
しかし、実際に特定行為を行っている特定行為研修修了者から話を伺うと、少し違った話を聞くことが出来ました。
この記事では、「手順書」の使われ方、有用性について紹介します。
特定行為を行うときは、手順書に基づき特定行為を行うことが前提です
手順書の詳しい解説に関しては下の記事で紹介しています。

特定行為を実施するときに手順書は必要?
手順書の「病状の範囲内」の患者に限り、特定行為を行うことが出来ます。
手順書から逸脱した場合には特定行為は出来ない?
手順書を見ながら、解説をします。

画像の手順書は「侵襲的陽圧換気の設定変更」という人工呼吸器の設定変更を行うための手順書です。
□のチェック項目がたくさんあります。これが1つでも逸脱すると、「病状の範囲外」となり主治医へ連絡します。
医師からの直接指示で特定行為を行うとは
手順書から逸脱した「病状の範囲外」であっても、医師に報告し医師からの直接指示で特定行為を行うこともあります。
しかし、医師からの直接指示で特定行為を行うことが認められているかは施設毎に違い、さらには医師の判断により変わってきます。例えば、施設が「病状の範囲外」の患者に特定行為を行うことを認めていない場合には、特定行為は実施出来ません。これは、施設としての決まりです。
医師からの直接指示で特定行為が出来たとしても、「A医師がOK B医師はNO」と言ったように医師の判断により特定行為が実施出来るかは変わってきます。
特定行為に手順書は必要か?
結論から言うと必要です。しかし、手順書を見て貰うと分かると思いますが、手順書には「特定行為の実施方法やマニュアルは載っていない」ということが分かります。
手順書は、特定行為を実施するかしないかの判断するアセスメントツールです。
- 病状の範囲内➡特定行為を実施
- 病状の範囲外➡特定行為を実施しない
手順書を使い上記のように判断します。
医師からの直接指示で特定行為を実施するケースとは

特定行為の元々の活用方法は、「手順書に基づき、医師の判断を待たずに手順書によりタイムリーに特定行為を実施する」とされています。
特定行為研修修了者は、病院での勤務が多数を占めています。そのため、主治医の誰にも連絡が取れないという状況は少ないです。
つまり、医師からの直接指示で特定行為を実施するケースとは、医師と連絡は取れるけど、医師がすぐには来れない状況(手術や処置中)という状況が多いです。
直接指示で特定行為を行う場合の医師との連絡内容
パターンA:病状の範囲内

Aさんは、手順書の「病状の範囲内」なので、○○の特定行為を実施してもいいですか?



処置中ですぐには、行けない状況です。
手順書の範囲内であれば特定行為を実施して下さい。
パターンB:病状の範囲外



Aさんは、○○で病状の範囲外ですが、Aさんの現在の病状から考えて、特定行為は可能と判断しますが、先生どうでしょうか?



そうですね。
その病状であれば、特定行為は可能と判断します。
このように、とりあえず連絡は繋がる状況が多いです。もちろん、電話での報告ではなく面と向かって直接会話して報告する場合もあります。
まとめ
特定行為を実施するために、手順書は必要です。それは、患者の安全だけでなく、特定行為を実施する私たちの安全を守るためでもあります。
ただ、病院で特定行為を実施する場合には医師に連絡がつかないという状況は少ないため、手順書の意味合いも多少変わってくる印象はあります。