「特定行為」って、どのように活用しているかイメージがつきにくいと思います。
特定行為は、組み合わせて使用することも可能です。今回は、「呼吸器関連」の特定行為を使った抜管までの一連の流れを紹介します。
特定行為:呼吸器関連の詳細
・侵襲的陽圧換気の設定の変更
・非侵襲的陽圧換気の設定の変更
・人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
・人工呼吸器からの離脱
今回使用する特定行為は「人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整」と「人工呼吸器からの離脱」の2つです。
呼吸器の設定を変更するという意味では「侵襲的陽圧換気の設定の変更」も該当します。ニュアンスとしては、「侵襲的陽圧換気の設定の変更」は、抜管はしない患者の呼吸器の設定変更の時に使います。例えば、pCO2が貯留している場合などです。
「人工呼吸器の離脱」は、呼吸器を抜管する前のウィーニングの時に利用します。あえて、分ける必要性はあるの?という声も分かります(;^ω^)
「非侵襲的陽圧換気の設定の変更」は、NPPVを指しています。
手順書を使って特定行為をする
実際の使い方の紹介をする前に、手順書について説明します。
今回は、厚生労働省の「特定行為に係る手順書例集」より手順書を引用しています。
手順書:人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整

この特定行為については、包括的指示が事前にある場合が多いので使わないことも多いです。
例:患者の意識レベル RASS 0~-2でコントロール プロポフォールの流量0~15ml/Hで変更可
このような指示がルーティンでされている場合も多いと思います。この包括的指示がある場合には、「鎮静薬の投与量変更」の特定行為は使いません。
手順書:人工呼吸器からの離脱
人工呼吸器を離脱して抜管するためには、ガイドラインが出来ています。それに従い、呼吸器の離脱(ウィーニング)を行います。
特定行為「人工呼吸器の離脱」もの手順書もガイドラインと同じ流れになります。具体的には、「SAT(自発覚醒トライアル」と「SBT(自発呼吸トライアル)」の2セクションに別れています。
人工呼吸器からの離脱1 自発覚醒トライアル SAT

人工呼吸器からの離脱2 自発呼吸トライアル SBT


手順書の具体的な使い方に関しては、下の記事で紹介しています。

特定行為の活用:『呼吸器関連』 抜管のためのウィーニング
人工呼吸器管理をしている患者の抜管をするために、呼吸器のウィーニング(離脱)を行います。スタートとゴールは、下の表に記載します。抜管基準は、各施設ごとに異なると思います。
設定 | スタート | ゴール |
---|---|---|
意識レベル | RASS-3 | RASS 0 |
モード | A/C(アシストコントロール) | CPAP |
Fio2 | 60% | 30% |
PEEP(Low PEEP・呼気圧) | 15 | 5 |
PC/PS(HiPEEP・吸気圧) | 10 | 5 |
今回、使用する特定行為は、「人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整」と「人工呼吸器からの離脱」になります。
特定行為を使った「人工呼吸器の離脱」の流れ
ガイドラインに従いSAT(自発覚醒トライアル)をクリア➡SBT(自発呼吸トライアル)クリア➡抜管という流れになります。
特定行為:人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
SAT(自発覚醒トライアル)を実施します。クリアするために、鎮静薬を中止します。
手順書に従い、患者の意識レベルの確認を行います。問題なくSATがクリア出来たら、SBTに移ります。
特定行為:人工呼吸器からの離脱
SBT(自発呼吸トライアル)を実施します。具体的な呼吸器の設定の変更方法については割愛します。上の表のゴールまで呼吸器の設定が変更し、手順書のチェック項目に逸脱しなければ離脱終了となります。
呼吸器の設定を変更した後は、動脈血液ガスの評価も行います。
途中で、SATやSBTが失敗すれば、後日再チャレンジとなったりします。
問題なく、SBTをクリア出来たら抜管を行います。
医師によっては、ここから直接指示で抜管まで私がやることもあります(笑)
スタートからゴールまで所要時間:60~120分です。