特定行為研修『志望動機の書き方』特定行為のメリットや看護への活かし方

2020年度から、看護師にとってメジャーなキャリアアップでもある「認定看護師」にも、特定行為に係る看護師の研修(特定行為研修)を教育課程に組み込んだ「B課程」が開始され徐々に認知されるようにになってきた特定行為研修。修了者の数も増えており、キャリアを考える際にも外せない要素になっています。

「特定認定看護師」や特定行為研修だけを修了した「特定看護師」を受講しようと思っても、活動報告の情報が少なく具体的なイメージを持てないために、志望動機の書き方に困っている方も多いと思います。

今回は、特定行為研修を受講する際に必要となる「志望動機」の書き方を具体例を用いて紹介します。

この記事を読んで分かること
  1. 志望動機の書き方が分かる
  2. 看護への活かし方が分かる
あわせて読みたい
認定看護師教育課程(特定行為を組み込んでいる教育課程(B課程)一覧 このページは、認定看護師課程に組み込まれている特定行為の資料ページです \ 日本看護協会サイトに移動できます / 認定看護師(B課程)分野別教育機関一覧・ 感染管...
特定行為21区分の図
目次

『特定行為』を使うことで、どのようなメリットがあるかを考える

「特定行為」を実際に活用している修了生が周囲にいる方は、イメージが掴みやすいと思いますが修了者の数は少ないのが現状です。具体的な活動のイメージを持てないために「特定行為」のメリットと看護について繋げられない方も多いともいます。いくつかの「特定行為」の実践例を元に志望動機について考えていきます。

呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連

別記事でも紹介していますが、人気のある「呼吸器関連」です。今回は、Aラインを挿入していない一般病棟での活用方法も想定して「動脈血液ガス分析関連」も紹介します。

呼吸器(気道確保に係るもの)関連
  • 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チュー ブの位置の調整
  • 侵襲的陽圧換気の設定の変更
  • 非侵襲的陽圧換気の設定の変更
  • 人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
動脈血液ガス分析関連
  • 動脈血液ガス分析の直接動脈穿刺法による採血
  • 橈骨動脈ラインの確保

人工呼吸器装着中のAさん

人工呼吸器装着中の患者

動脈血液ガス分析関連(動脈穿刺)

人工呼吸器を装着しているAさんが苦しそうにしているのを発見します。主治医は、手術中もしくは外勤中ですぐに連絡が繋がりません。現状のアセスメントをするために動脈血液ガスのデータを取る必要性があります。しかし、一般病棟では、Aラインが挿入されていない場合がほとんどかと思います。医師に連絡がつかないため手順書に従い、動脈採血を施行します。

動脈血液ガスの値(pH pCO2 pO2 BE HCO3-)から、「呼吸性アルカローシス」と判断しました。ラクテート(Lac)は、上昇していないため嫌気性代謝は起きていないと判断しました。

※血液ガス分析関連なので、血液ガスの値も読めるようになります。

呼吸器関連(人工呼吸器の設定変更)

動脈血液ガスの値から「呼吸性アルカローシス」と判断し、分時換気量を減少させるため呼吸器の設定変更を行います。モードにもよりますが、一回換気量を下げるor呼吸回数を減らすなどの方法があります。今回は、一回換気量を減らす方法を選択しました。バイタルサインなど、手順書の範囲から逸脱すると特定行為は使えませんが、今回は逸脱していません。

呼吸器関連(鎮静薬の投与量変更)

Aさんが苦しそうにしている原因は、鎮静が浅いことで覚醒してしまっていることが原因と判断し、鎮静薬の投与量を増やし苦痛を取り除くようにしました。表情も穏やかになり、Aさんのバイタルサインも正常に戻りました。

このケースの場合、困った事は「患者さんが苦しそうにしている」です。それに対して特定行為が介入することで患者さんが安楽に休めるようになりました。

また、「苦しそうにしている」ことで、呼吸回数の増加に伴い「呼吸性アルカローシス」になりました。これにも、特定行為として介入することで改善が出来ました。

特定行為は医師がいない場所(在宅など)や不在の状況で手順書を使って、特定行為を用いることを想定しています。医師と連絡が取れる時でも直接指示で行うことも多々あります。

特定行為は、医行為です。医行為の中に看護を求めるのではなく「特定行為」を使うor利用することで、どのように患者さんのメリットや看護師のメリットになるか考えましょう。

創傷管理関連

病院での活用だけでなく、訪問看護でも活用されている特定行為です。この事例は、他の訪問看護ステーションでの活動報告で上がっているものです。

創傷管理関連
  • 褥瘡(じょくそう)又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
  • 創傷に対する陰圧閉鎖療法
事例

A氏 50歳代、女性、脊髄損傷で下半身不随となる。入院1年前より右座骨部に褥瘡を発生し自宅で管理を行っていたが、褥瘡感染し、深さは骨に達した状態で緊急入院する。

【退院時の状態】
A氏の褥瘡は深部に達し、ポケットが残存している。退院後も週2回の定期的なデブリードマンが必要なため、入院中の病院から特定行為研修修了者が所属する訪問看護ステーションに相談がきた。

特定行為:褥瘡(じょくそう)又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去(デブリードマン)の介入

【訪問看護における特定行為実施の効果】
  • 月8回の通院が必要であったが、月2回に減らすことができ、通院に伴う本人・家族の身体的負担を軽減。
  • 通院に係る費用(治療費、介護タクシー・ヘルパーの利用料)の負担を削減。
  • 通院では3~5時間(移動等を含む)を要するが、訪問看護で特定行為を実施することで約1時間所要と時間的負担を軽減。
  • 生活環境を含めてアセスメントし、処置・指導で改善に繋げた。

このケースは、患者本人だけでなく家族にもメリットがあることが分かる事例です。

糖尿病・代謝疾患等の血糖コントロールに係る薬剤投与関連

糖尿病・代謝疾患等の血糖コントロールに係る薬剤投与関連
  • インスリン投与量の調整
看護師

血糖伝票の指示が明日以降から出ていない。
患者さんの食事が届いてしまったけれど、血糖値が高いor低い。このままインスリンを打ってしまって良い?

土日祝日などの、医師がいない状況で血糖値の変動があり、患者さんの食事を待たせてしまうケースは珍しくないことです。特定行為として介入することで、患者さんに食事を待たせてしまうことをなくせます。

また、血糖血の変動が気になる場合でも事前に相談がくれば高血糖や低血糖を未然に防ぐことが出来ます。

ドレーン抜去関連

ドレーンが必要ないと速やかに判断でき、かつ抜去できれば患者さんの早期離床が可能です。他にも、ドレーン抜去により患者さんの苦痛をとりのぞくことが出来ます。

まとめ

  • 特定行為は「医行為」であり、特定行為を用いることで患者さんや看護師にどのようなメリットとなるかを考える
  • 特定行為を用いることで、病棟で起きている困っていることを解消できないかという視点も志望動機にできる。
あわせて読みたい
『看護師の特定行為研修』研修開始までの流れを分かりやすく紹介 まとめガイド 特定行為研修についての疑問 ・どうやって取ればいいの? ・働きながら取れるの? ・費用は? こんな疑問に解決します。 研修の修了者が増え、徐々に周知されるようにな...

この記事を書いた人

看護師のキャリアと働き方の奮闘について情報を発信中

シトラス
  • 30代 2児のパパ
  • 会社員を経て看護師になる
  • 看護師5年目で特定行為研修を受ける
  • 妻のうつにより育休&時短勤務を経験

修了した特定行為区分

  • 呼吸器(気道確保に係るもの)関連
  • 呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連
  • 栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連
  • 動脈血液ガス分析関連
  • 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
  • 循環動態に係る薬剤投与関連
  • 術後疼痛管理関連
よかったらシェアしてね!
目次